新NISAが始まってかなりの期間が経つんだけど、株価の上昇に伴って投資をしている多くの人が資産を増やしている。とはいえ物価高もきつくて、投資をしているかどうかで今後の人生の歩み方が変わる。
だが、SNSではNISAを「政府の陰謀」「日銀の資金調達策」などの陰謀論がうずまいていて、踏み出せない人もいるだろう。

結論から言おう。仮にこれが政府の陰謀であったとしても、日本で生きている以上、我々は日本政府と一蓮托生である。 どうせ政府の手のひらで踊らされる運命なら、誰よりも上手く、合理的に踊ってみせるべきだ。
今回は、NISAの正体を「買い物」に例えて超具体的に解説する。
NISAは「制度」であって「商品」ではない

NISAは簡単に言うと「株で儲かったときに税金を優遇してくれる制度」である。通常、株式投資で得た利益には約20%の税金がかかる。100万円儲けても、手元に残るのは80万円だ。この20万円を「無料」にしてくれる箱、それがNISAという制度である。
したがって、「NISAは下がる」「NISAは損をする」という言い方は、主語として完全におかしい。正しい使い方はこうだ。
「NISAという制度を通して購入した株が、上昇(下落)した」
NISAそのものが減るわけではない。NISAという枠の中で動いている中身の問題なのだ。
「消費税ゼロ」という最強の買い物カゴ

この仕組みを一番身近な「消費税」に置き換えて考えてみよう。
あなたがスーパーに行ったとする。そうするといつも使う普通のカゴと「NISA」という特別なカゴがあった。店員いわく
「NISAのカゴの中に入る分は消費税がかかりません」
という。あなたは「ラッキー」と思いながら、NISAのカゴを使うだろう。
NISAというカゴを使ってお肉や魚という「株」を買い、お惣菜やお弁当という「投資信託」を購入する。これには税金がかからない。そういう制度なんだ。
国がギブアップした「セルフサービス」の老後

NISAに裏はある。だけどそれは、単なる計算違いだ。
年金制度ができた頃、日本人はもっと早く死ぬはずだった。最後の数年を支える設計だったのだ。ところが、医療が進歩して想定外に長生きしすぎた。
5年分の財布で30年分を支えるのは、物理的に無理。医療進歩による弊害だな。国は年金だけじゃ食わせられないと正直に言えない。
長生きはめでたいが、その分は自分で用意してくれという、国のギブアップ宣言がNISAの正体だ。
「カゴ」のせい?自分の目利きのせい?

株式が下落して損をするってことは「買ったお肉や魚が腐ってた」ってことになる。で、そんなものを並べていたスーパーが悪いのは悪いんだけど、金融業界では「選んだやつが悪い」んだな。究極の自己責任の世界だ。
ここで「NISAのカゴに入れてたから肉が腐った!」という人がいたらどうだろう?その人がアホに見えないだろうか?普通なら「お前が選んだ肉の鮮度が悪かったんだろう」「買った後にちゃんと管理したのか?」という感想になるはずだ。

「NISAで損をした」というのは「NISAのカゴのせいで肉が腐った」というトンチンカンな主張をしていることにお気づきだろうか?
もっと手前に新鮮な肉を判別したり、新鮮な野菜、できたての惣菜を選別するということのほうが重要なんだ。
個別株は肉や魚、投資信託はお弁当や惣菜
投資対象の違いも、食材に例えれば分かりやすい。

- 個別株(肉や魚): 調理(分析)には手間がかかるが、上手くいけば安く大量に食べられる。ただし、新鮮で質の良いものを自力で選別する高い目利き能力が求められる。

- 投資信託(お惣菜やお弁当): 肉、魚、野菜がバランスよく詰め合わされている。味付けや中身は選べないが、購入するだけで手軽に最適な栄養が摂れる。
初心者に株と投資信託どっちをオススメするかといえば圧倒的に投資信託である。ちなみに、NISAの成長投資枠では債権ETFという野菜も購入できる。
プロが詰めた「幕の内弁当」を買う

で、何を買うのが良いかってことなんだけど、結論は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称「オルカン」一択だ。
これはお弁当界でいう「最強の幕の内弁当」に近い。世界中の主要な企業という具材がバランスよく詰め込まれており、非常に食べやすい。さらに素晴らしいのは、時代の旬に合わせて、中身(構成銘柄)を自動で入れ替えてくれる点だ。
もちろん、オルカンも絶対ではない。しかし、どこの牛肉か猪の肉かわからない個別株に全振利するより、広く世界に分散された「幕の内弁当」に投資する方が、生存確率は遥かに高まると考えるのが合理的だ。


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